HOME

2017年10月14日土曜日

映画「ポルト」


静かで美しくて哀しい映画。主演のアントン・イェルチンが定職のない、親に勘当された、静かで哀しげな男の役で、その抑えた雰囲気と声が味があって、この人の演技をこれからも見たいと思うような、わたしにはそんな俳優との出会いだったんだけれど、彼がもうこの世にいないことを感じながら観ると、ほんとうに惜しい。この映画は2016年の作品なのだけど、このあと彼は亡くなった。





こういう男の役ってブラピやマコノヒーではだめで、ゴズリングもだめで、誰が他にやれそうかな?と考えたんだけど、しっくりくる人が思い浮かばなかったですねえ。レッドメインあたりどうだろう。ちがうか・・・・・。

冬の夜のポルトの街を歩く主人公が(というかアントン・イェルチンが)、ジェームズ・ディーンのようにわたしは見えたりもして、ああいう雰囲気が出せる人っていそうでいないと思うんだけど。

二人がじーーと見つめ合う長い時間のあとに「アントンに捧げる」という文字が出て終わるのが、胸が痛かった。

昔のフランス映画を観るときの感覚にとても近い、話自体は単純で、コンパクトなつくりの(90分以下)美しくて哀しい映画でした。ポルトというのはポルトガルの街だそうで、監督はブラジル人だそうですね。





2017年10月9日月曜日

白洲正子


美しいものをわざわざ見に行ったりするのって昔は大好きで、お金もかけていたんだけど、だんだんどうでもよくなってきてるというか。たくさん見たからもうおなかいっぱいなのか「自分で考えたらよろし」みたいになってきていて、わざわざ行かなくてもどうってことないな、と体でわかってからは、積極的には行かなくなってたんですよね。たまには行くけれども。





久しぶりに白洲正子の世界をのぞいてみたら、やっぱり「見る」ということが大事なんだわ。美しい世界だけに言えることじゃないけど、見て、知るということは考えるきっかけになるし、発想につながる機会にはなるなあ。と思ったのでした。

昔はそんなことばっかりやっていたけれど、けっこうエネルギーの要ることだったんだなあと思うんですよね。たべるものと寝るところがあればよし、みたいに究極なっている今、たくさん求めてないし、なくても生きてはいけるんだけど、ときどき触れるのはいいし、映画でも旅でも「見て知る」ということが好きであることは変わってないと思います。